ハエ対策はこの春先から始めることがベストです

ハエ対策いつ始める?対策時期と方法







まだ寒いこの時期にハエ対策と聞くと、


“この時期にハエ対策って早くないか?”

“ハエなんてまだいないよ”


と思われる方も多いかと思います。

しかし、実際に畜舎周辺には越冬したウジやサナギが春に備えて潜んでいます。
ハエ対策はスタートダッシュが重要になるため、この春先から始めることがベストになります!



春のハエ対策の重要性

なぜ、春先からの対策が重要なのか、それはハエの発生消長に関係しています。
ハエの発生は、春から夏に向かって増加します。それは気温の上昇に伴い、卵から成虫になるサイクルが短くなるからです。
ハエ対策というと農場の方は成虫剤をメインに使用し、飛んでいる成虫にかけるイメージをお持ちの方が多いと思います。
しかし、ピーク時のハエの勢いは凄まじく、いくら成虫を叩いても、次から次へと羽化してくるため「いたちごっこ」になり、せっかく成虫剤を噴霧したのに、時間と労力が無駄になってしまいます。
シーズンを通してハエの発生を抑えるには、発生源対策を徹底的に行い、次の世代の成虫をできるだけ減らすことが重要です。

・具体的な発生源対策

発生源対策を効果的に行うには「環境整備」と「幼虫(ウジ)対策剤」の2つを組み合わせることが重要です。

①  畜舎の環境整備

成虫はウジにとって水分と餌がある場所に産卵をします。家畜の糞尿が溜まった場所、こぼれた飼料、畜舎の隅、堆肥場などが主な発生源です。
このような発生源をできるかぎり減らすために、除糞や日々の清掃、堆肥の攪拌など環境整備をすることで、ハエの発生を抑えることに繋がります。また堆肥場では、堆肥の発酵熱で卵やウジ、サナギは死滅するため、こまめに切り返しを行い全体的に十分な熱を加えることが重要です。
気温の低いこの時期に除糞や清掃で、越冬しているウジ、サナギを排除し、数を減らしておくことはとても効果的です。

②  幼虫対策剤

せっかく掃除をしても、集めた堆肥や敷料を積みっぱなしの状態では、場所が変わっただけでハエの発生源に変わりないです。
このようなウジの生育場所(堆肥、牛床の周囲、糞便堆肥の取りこぼし箇所)へは、幼虫対策剤の散布をお勧めしております。
一般的にウジやサナギは、飛んでいる成虫の約4~5倍も存在するといわれており、幼虫対策剤を散布することで効果的にハエの密度を低下させることができます。

散布する幼虫対策剤はIGR剤(Insect Growth Regulator=昆虫成長制御剤)がお勧めです。
速効性はありませんが、効果期間が比較的長く、昆虫特有の生理的機能に作用する成分ですので、人間や家畜などの哺乳類への毒性が低いことが特長です。


IGR剤のご紹介

サイクラーテSG
有効成分量:ピリプロキシフェン 0.5%
散布方法 :粒剤もしくは水に希釈(50倍)して散布する。
散 布 量:20g/㎡(粒剤)、50倍希釈液 1L/㎡
サイクラーテSGの効果:幼虫期間に薬剤にあたると、サナギの状態で止まり、成虫になれずに死にます。
サイクラーテSGは、食毒および接触によっても効果が発現するので、幼虫期間で最も長く、かつあまり摂食せずに動き回る3齢中後期のウジに効果的です。

ハエをゼロにすることは難しいですが、できるだけ少なくすることは可能です。
冒頭にもお話しましたが、ハエ対策は先手を打つことが大切です。
牛がゆっくり寝ることができる、快適な環境作りをぜひ一緒に取り組んでいきましょう!

ゼノアック(日本全薬工業株式会社)