栃木県の最も特徴的な組織的活動として、「とちぎの和牛を考える会」が挙げられます。
この会は、平成3年からの牛肉輸入自由化を控え、昭和63年に、県内の意欲的な生産者が結集し、国際化にも対応し得る和牛生産に取り組むため、会員の経営能力向上と相互研鑽の場として設けられました。
「とちぎの和牛を考える会」は、農家自身による・農家のための和牛の勉強会であり、基本的理念として、会員の活動としては、まずは各地区にある農協等の和牛部会等の活動を優先させ、会はその地区ごとの活動を補完する組織として、それらの組織ではできない活動を行うために存在する、となっています。
このため、農家にとって最もプラスになることを最優先とし、研修会には農協組織では呼びにくい講師、大所高所から辛口意見を述べる技術者、人間の生き方を明快に語るジャーナリスト、製薬会社のスペシャリストなどに講師を依頼しています。
発足当時は県内の和牛繁殖農家が中心でしたが、活動は徐々に広まり、近県を中心に県外からの参加も増えています。参加者は和牛繁殖農家ばかりでなく、肥育農家、酪農家、農業関係の高校生・大学生、農協、獣医師、研究者、県指導担当者、市場関係者、製薬会社、資材会社など幅広いものとなっております。
特に栃木県おける受精卵移植技術の普及定着は、この会の研修会で受精卵移植技術を積極的に取りあげ、地区役員が受精卵移植に取り組んでいる先進事例を視察し、その技術を地区内へ普及したことなどが大きく貢献しているものと考えており、加えて、県内一円の農家の情報交換や仲間意識の醸成、和牛の改良や飼養管理技術の高位平準化などを図る場として、今後ともその活動が期待されています。