春から始めるハエ対策②

いよいよハエのシーズンが始まります。
各地で桜も開花し、暖かい春がやってきました。寒さが苦手な人にとっては待ちに待った季節の到来ですが、畜舎に潜むハエたちにとっても、活発に活動できる季節の始まりになります。
ハエの発生ピークは1年に2度あり、梅雨が明ける6~7月と秋口である9~10月になります。
ピーク時の発生状況は、ピーク前にあたる今の時期にハエ対策のカナメである発生源対策がどれだけしっかりされるかによって大きく変わってきます。

ハエの発生源(産卵場所、ウジの生育場所)となるのは、家畜の糞便、堆肥、水分を含んだ飼料・敷料など水分と餌がある場所になります。表面が乾いているように見えても、めくると下は湿っていてウジがたくさんいるケースも多くあります。また、牛床では以下の図のように、牛に踏まれにくい端にウジは移動して生息していることが多いです。


毎日の除糞、清掃、堆肥場による攪拌(堆肥化処理)などの環境整備を行うことで、ハエが好む環境を減らし、発生を大きく抑えることに繋がります。
ただ、実際には日々の作業の中で手が回らないこともあると思います。そういった場合は幼虫(ウジ)対策剤の散布プログラムを組み合わせて、対策することをお勧めいたします。

幼虫対策剤はIGR剤(Insect Growth Regulator=昆虫成長制御剤)がお勧めです。
即効性はありませんが、効果期間が比較的長く、昆虫特有の生理的機能に作用する成分ですので、人間や家畜などの哺乳類への毒性が低いことが特長です。
IGR剤の成分として、現在、畜産分野で利用されているものは、幼若ホルモン用物質(成分名:ピリプロキシフェン サナギからの羽化を阻害する)と、脱皮阻害剤(成分名:シロマジン 幼虫の脱皮を阻害する)になります。

ピリプロキシフェン製剤のご紹介

サイクラーテSG
有効成分量:ピリプロキシフェン 0.5%
散布方法:粒剤もしくは水に希釈(50倍)して散布する。
散布量:20g/㎡(粒剤)、50倍希釈液 1L/㎡
 

サイクラーテSGの効果:幼虫期間に薬剤にあたると、サナギの状態で止まり、成虫になれずに死にます。

サイクラーテSGは、食毒および接触によっても効果が発現するので、幼虫期間で最も長く、かつあまり摂食せずに動き回る3齢中後期のウジに効果的です。
5月~9月までの発生が多くなる期間は、ウジの生育場所(堆肥、牛床の端、周囲他、糞便堆肥の取りこぼし箇所)に「幼虫対策剤の週1回散布」をお勧めしております。

畜舎のハエを“0”にすることはなかなかできませんが、環境整備と幼虫対策剤を組み合わせて、発生源対策を行えばハエの発生を大きく抑えることが期待できます。成虫剤対策が中心で、効果が実感できていないという農場では、ぜひ発生源対策を取り入れたプログラムをご検討いただければと思います。

ゼノアック(日本全薬工業株式会社)