大田原市木下智昭農場(和牛肥育農場)取材レポート

先日大田原市木下智昭牧場を取材致しましたのでご紹介させていただきます。木下牧場の飼養頭数は34~35頭で導入は主に地元矢板家畜市場です。写真の智昭さんは約15年前に経営を引き継がれ表紙の写真にあります通り平成21年度全国肉用牛枝肉共励会で名誉賞をとられた有名な牧場です。素牛は地元大田原の小林勉さんの牛を矢板家畜市場を通して導入したものです。ロースのつくりと“かぶり”の素晴らしい牛でないと入賞できないそうです。現在は枝肉歩留まり78%枝重量600kg平均そしてなんとA5 100%販売価格170万~180万(税込み)と跳び抜けて優秀な成績です。最近肥育農場を取材して異口同音であるのがももの張った牛、尻の張った牛(大腿部)でないと肉量が取れないし成績が出ないということである。市場から素牛導入をする際には血統、体型重視なのは共通しています。ももの張った牛は後天的に肥育農場に渡ってから発達させるのは間違いないですが導入時点で初めからぺったんこの牛は無理だそうです。またサシを入れて優秀な肉質にするため家畜保健所に依頼し定期的にビタミンA測定を行いデータを参考にしています。木下牧場における素牛導入で血統を見極めるポイントとして雌の枝肉成績が優秀な血統は遺伝するという観点から2代祖、3代祖の母親を見るそうです。例えば栃木県出身の安福久や美国桜がこれに該当します。また母親は3産までの若いものが好成績の確立が高く、DGが1以上の子牛を選んでいますが矢板市場の素牛は肉が乗り過ぎだそうです。

飼養管理において写真のように1マス1頭で広々ゆったり且つ整理整頓された清潔でカウコンフォート抜群の環境下であることが分かると思います。優秀な農場に共通しているのが肥育農場独特の臭いが少ないことです。導入してから20~21ヶ月肥育(月齢にして30~31ヶ月出荷)、導入時にはタンパク質を給与すると肩が出来るので~3か月間(9ヶ月齢~13ヶ月齢)バイパスタンパクを給与しています。1kg/日程度給与しても下痢にはならないそうです。導入時にビタミンA 100万単位 導入3か月間は配合飼料40%TMR(粗飼料、濃厚飼料混合飼料)、チモシー、藁で腹づくりを行い、徐々に配合飼料を増し飼いし仕上げていきます。

角の付け根が細い牛が見栄えが良い(歩留まりが良い)肥育期間のコストは30万/頭超。矢板家畜市場以外からは岐阜、宮崎からの導入もあり、先代は兵庫、岩手、宮城県もありとくに兵庫からの導入が多かったのが個人的に興味深いところです。胴伸びが良く、背垂、肩幅がある牛が良い。家畜改良事業団種雄牛では美津照重がこれに該当し、最近人気の幸紀雄は肥育してみると筋肉質で他の血統の牛とは違うそうです。

最後に取材時に先代(父親、母親)が楽しそうに会話に加わりお話いただいたのが大変印象的で家族一丸で経営されていることがよく分かりました。