梅雨入り間近となり、ジメジメと蒸し暑い日が多くなってきました。皆様の農場でのハエの発生状況はいかがでしょうか?今年は春から暖かい日が多く、ハエの発生時期が例年に比べて早いと感じている農場もあるのではないでしょうか。
一般的に牛舎で発生するハエの種類はグラフのような割合と言われております。
農場によっては発生するハエの種類や割合が異なる場合もありますが、発生源となるのは主に糞便や堆肥と共通していることが多いです。
発生源対策のポイントは除糞や清掃、堆肥化処理といった環境整備と発生源への幼虫対策剤の散布になります。前回まで環境整備や発生個所のポイントを詳しく説明してきましたので、今回はもう一つのポイントである幼虫対策剤について少し掘り下げて説明いたします。
幼虫対策剤はIGR剤(Insect Growth Regulator=昆虫成長制御剤)と呼ばれる殺虫剤になります。IGR剤は、昆虫の変態や脱皮をコントロールしているホルモンのバランスを狂わせることによって、幼虫の脱皮や羽化を阻害し、結果として死に至らせます。
<IGR剤の特長>
・速効性はないが、残効性があるため効果期間が長い。
・昆虫特有の生理的機能に作用する成分のため、人間や家畜などの哺乳類への毒性が低い。
<IGR剤の種類>
幼若ホルモン様物質剤(成分名:ピリプロキシフェン サナギからの羽化を阻害する)
幼虫期間に食毒と接触毒によって効果を発現します。
脱皮阻害剤(成分名:シロマジン 幼虫の脱皮を阻害する)
幼虫期間に食毒によって効果を発現します。
幼若ホルモン様物質剤のご紹介
サイクラーテSG
有効成分量:ピリプロキシフェン 0.5%
散布方法:粒剤もしくは水に希釈(50倍)して散布する。
散布量:20g/㎡(粒剤)、50倍希釈液 1L/㎡
サイクラーテSGの効果:幼虫期間に薬剤にあたると、サナギの状態で止まり、成虫になれずに死にます。食毒および接触毒によって効果が発現するので、幼虫期間で最も長く、かつあまり摂食せずに動き回る3齢中後期のウジに効果的です。
散布頻度は5月~9月までの発生が多くなる期間は、幼虫の生育場所(堆肥、牛床の端、周囲他、糞便堆肥の取りこぼし箇所)に「幼虫対策剤の週1回散布」をお勧めしております。
これからの時期、ハエの発生数は急激に増加していきます。一度増えてしまったハエを減少させるのは、時間と労力が多くかかってしまうため、増えてからではなく、増える前からの対策を意識していきましょう。是非、幼虫対策剤と環境整備を組合せた発生源対策プログラムを検討していただき、発生のピークになる前に対策を始めていきましょう!