ハエの発生源対策について

①注意!ハエが増えてくる時期です。

家畜の生産性に影響を与える要因の一つであるご存知のハエですが、変温動物である彼らにとって、今の時期は気温上昇とともに活動がますます活発になり、農場周辺での発生密度も日ごとに高くなっていく時期になります。



成虫の発生数は、「氷山の一角」です。
ハエの発生している環境では、見た目の成虫数の4~5倍の数が、サナギ、ウジ、卵の状態で存在すると言われています。成虫の密度が高い状態で殺虫剤を散布しても、見た目の密度はすぐに戻ってしまいます。本格的に増えてくる前に、しっかり対策をとるようにしましょう!


②ハエの発生場所と対策

日本だけでも3,000種はいると言われているハエですが、畜舎、とりわけ牛舎周辺での発生数が多く、家畜に害を及ぼす種類としては、イエバエ、サシバエ、ヒメイエバエなど限られています。

これらハエ成虫は、密度が高くなってからでは対策はより難しく、労力もかかってしまいますので、増える前からの「発生源対策」が重要になります。

これらのハエの発生場所(産卵場所、ウジの生育場所)は、家畜の糞便堆肥がメインとなりますので、糞便堆肥の管理がしっかりできれば、それだけでもかなり発生を抑えることができます。

具体的には毎日の除糞、清掃、堆肥場での攪拌になります。

実際には手がまわらないこともありますので、幼虫(ウジ)対策剤の散布プログラムを組み合わせて、対策することをお勧めいたします。

 


③幼虫(ウジ)対策剤は?

幼虫対策剤はIGR剤(Insect Growth Regulator=昆虫成長制御剤)がお勧めです。
即効性はありませんが、効果期間が比較的長く、昆虫特有の生理的機能に作用する成分ですので、人間や家畜などの哺乳類への毒性が低いことが特長です。

IGR剤の成分として、現在、畜産分野で利用されているものは、幼若ホルモン用物質(成分名:ピリプロキシフェン サナギからの羽化を阻害する)と、脱皮阻害剤(成分名:シロマジン 幼虫の脱皮を阻害する)になります。

ピリプロキシフェン製剤のご紹介

サイクラーテSG

有効成分量:ピリプロキシフェン 0.5%
散布方法:粒剤もしくは水に希釈(50倍)して散布する。
散布量:20g/㎡(粒剤)、50倍希釈液 1L/㎡

サイクラーテSGは、食毒および接触によっても効果が発現するので、幼虫期間で最もながく、かつあまり摂食せずに動き回る3齢中後期のウジに効果的です。

5月~9月までの発生が多くなる期間は、ウジの生育場所(堆肥、牛床の端、周囲他、糞便堆肥の取りこぼし箇所)に「幼虫対策剤の週1回散布」をお勧めしております。

発生源対策だけで完璧にハエの発生を抑えることは難しいですが、幼虫対策をしっかり実施すると、おのずと成虫の発生数を抑えられますので、成虫剤の散布頻度を抑えることができます。
特に長年、成虫剤の散布をメインに対策をされ、効果が出にくくなってきた農場では、発生源対策を軸にしたプログラムをご検討いただければと思います。


ゼノアック(日本全薬工業株式会社)