初乳の給与について

初乳の話の前に

自然な状態で分娩した母牛は子牛を執拗に舐めまわします(リッキング)。リッキングを受けた子牛は呼吸や血液循環が促進され、免疫力が向上するとされ、初乳の吸収に大きく影響します。また、母牛に舐めさせることができない場合は人間が代役をしなければいけません。十分な時間をかけて清潔なタオルや乾いた敷料等で子牛を拭きましょう。

初乳の必要性

子牛は生後30~40日程経過しないと自分で免疫グロブリン(抗体)を作れません。それまでの間は、親の初乳に含まれる免疫グロブリンを吸収し、細菌やウィルスから自分を守ります。ですので、十分量の免疫グロブリンを含んだ初乳をしっかり飲ませなければ、1か月令以内の子牛は病気に感染しやすくなり、増体にも悪影響を及ぼします。子牛を感染症から守って健康に育成するためには、正しい方法で初乳を給与して抗病性を高めることが重要です。

初乳給与のタイミング

出生直後の子牛の第四胃内には、体重の約 5 %の羊水が含まれています。正常に生まれた子牛は、生後 2 時間以内に起立して哺乳欲を示し、出生直後に含まれていた第四胃内の羊水が小腸へ移送して第四胃内が空になります。生後 6 時間以内であれば、どの時間に初乳を給与しても血液中の免疫抗体量に差がないという報告があるため、初回の初乳給与は、第四胃内に羊水が含まれている出生直後より、第四胃内に何も存在しない起立して哺乳欲を示した 6 時間以内がベストです。 

初乳について

新鮮な黒毛和種牛の初乳はホルスタイン牛と比較して乳量は少ないですがIgG1濃度が高く、子牛への免疫賦与の効果が高いことが知られています。また、各農場特有の病原菌に対する特異抗体も含まれているため、母牛からの免疫摂取は重要になります。しかし、初産~2 産目までの母牛は泌乳量、抗体量ともに少量であることが多く、経産牛でも栄養状態が良くない場合やストレス等によって個体間で初乳に含まれる免疫グロブリン量に個体差があるため、そういった場合は初乳製剤や凍結初乳の給与が必要になります。

初乳製剤について

良質な初乳を確保できない場合は、初乳製剤の追加給与が必要になります。しかし、含有IgG量の不明確な製品では必要量が確保されなかったという報告もあるため、初乳製剤を使用する場合はIgG含量の明記された製品を使用しましょう。

さいしょのミルクについて

さいしょのミルクは初乳中の免疫成分が含まれるホエーを濃縮して配合しており、1袋で免疫グロブリンを80g給与できます。さらに通常の初乳に含まれる微量ミネラルやビタミン群、中鎖脂肪酸等を豊富に配合しています。また、粉末を独自の製法で果粒化しており溶けやすさは抜群に良いです。(下写真)実際にさいしょのミルクのみを給与して、血中lgG濃度が理想とされる免疫移行ラインを超える事を確認もしています。(下図)

子牛を感染症から守って健康に育成するためには、正しい方法で初乳を給与して抗病性を高めることが重要です。子牛の潜在能力を存分に発揮させ、効率的な子牛生産を行うための一助になれば幸いです。