表紙の写真が熊田貴智(くまだ たかのり)さんです。熊田さんは大学卒業後、市貝町のJETファーム(乳肉複合メガファーム)に就職後、奥様に出会い就農(婿入り)しました。熊田牧場はH29に法人化し、その前後から繁殖雌牛を導入し一貫経営を開始しました。和牛肥育牛90頭、繁殖雌牛45頭、子牛30頭 繁殖雌牛は自家産10頭+クラスター事業で24頭その他矢板家畜市場から6頭導入し現在に至ります。一貫経営ですが肥育素牛も足りない場合は矢板からも導入します。その他本宮、岩手中央、山形から導入しています。矢板の牛は移動距離が少ないせいなのか元気で群に入れても元気だそうです。肥育枝肉は全量全農に出荷しています。
現在労働力として貴智さん含め3名ですが1名追加予定です。
飼料体型は自給粗飼料として稲わら、WCS(稲ホールクロップサイレージ)、イタリアンライグラスを利用し、足りない場合は輸入乾牧草を購入します。近隣と構築連携しWCS10町歩→500個/年、稲わら30町歩その他麦わらも集めている。
飼養管理について子牛は5日目に母子分離し人工哺乳に切り替え3ヶ月目安に離乳します。疾病予防に以前とちぎの和牛を考える会でも橋本巌先生に紹介していただいた鼻腔ワクチン(TSV2/ゾエティス/呼吸器)やコクシジウム対策でバイコックス(バイエル)をやっています。発育のバラツキや血統的な性格のせいなのか群飼い出来る牛と出来ない牛に分けて管理し発育を調整しています。
◇◇◇ IOT活用による牛群管理 ◇◇◇
熊田牧場ではカメラやデザミス株式会社「U-motion®」を活用してます。「U-motion®」とは具体的に写真のように首にセンサーを取り付けてそこから牛の行動様式をクラウドにあげて分析し全国からクラウドにあがったデータをもとに牛の状態を可視化するものだそうです。牛の行動パターンを採食する、横臥する、反芻する、歩く等といったように6つに分類し疾病につながる異常行動や発情行動を見つけるものです。自動でアラートを出す機能もついているそうです。
熊田牧場では事故防止のために導入しましたが導入後は斃死はないそうです。
詳しくはデザミス株式会社のHP https://www.desamis.co.jp/ を参照ください。
最後にJAなすの芳賀課長からも熊田さんの話が出ていたことから大田原地域での若手のホープであることは間違いないと思いました。年配者には疎い“デジタル化”を畜産に取り入れて1次産業での人手不足解消や飼養管理効率化の成功例となって欲しいと感じました。