バイパスメイトLの繁殖和牛への利用について(油化産業株式会社)

繁殖和牛の農家の皆様、日々のお仕事お疲れ様です。油化産業と申します。あまり聞きなれない会社名かもしれませんが、畜産業界に携わって約30年間細々と油脂関係の飼料を販売させて頂いております。さて、乳牛等ではお産した後の急激なエネルギーを必要とする場面では良く登場して来る「ユシ」ですが、和牛の世界では嫌われているかもしれません。過去に、風評(?)とも思われるような、「脂肪酸カルシウムを食べた牛のサシが入らない」などという悪評が出たことがありました。今でも信じられている方は是非認識を新たにして頂きたく思います。決して、関係は御座いません。むしろ、子牛時期は有効に使用すれば大きな武器となってくれるはずです。

  1. 繁殖とバイパスメイトL

繁殖成績に最も効いてくるのが、分娩後の発情回帰までの日数ではないでしょうか?どうも発情が明瞭ではない、何度も種付けしているのに3週間後にまた次の発情が来てしまった等手こずらせる牛が中には存在するのではないでしょうか?そこで、大豆・菜種油を主成分とする脂肪酸カルシウムという製品が「バイパスメイトL」というものです。通常の脂肪酸カルシウムと何が違うかというと大豆油・菜種油に含まれているリノール酸が他社品と比較してリノール酸が多いことが挙げられます。このリノール酸は体内で吸収されてから、発情ホルモンの1種であるPGF2αに変換され、黄体退行、排卵誘発、子宮回復等の効果を発揮することによって結果として繁殖成績を向上させてくれます(図1)

(2)「脂肪酸カルシウム」とは?

一般的に「油脂」というと液体の食用油を想像すると思いますが、これをこのまま牛に飲ませることはできません。反芻胃中の微生物が死滅して発酵障害を起こしてしまうからです。そこで、約40年前に油脂を効率的に飼料化し牛に給与する技術が英国で製品化されました。それが「脂肪酸カルシウム」という製品です。当社は日本で初めて製品化して永く製造販売させて頂いております。その原料は当初は食用のパーム油が主体でしたが、約20年前に新製品として大豆・菜種油の脂肪酸カルシウム「バイパスメイトL」を上市しました。

大豆油・菜種油から効率的に油脂を取出し、脂肪酸へ分解したところで、最終的に石灰と反応させて脂肪酸カルシウムになるのです(図2)

そんなに大豆が重要ならば、加熱大豆圧片や大豆粕ではどうか?という質問をたまに受けますが、牛には大きな反芻胃があり、その中に居る微生物の働きを阻害しない脂肪酸のバイパス率やそれ以外の栄養素(蛋白質、繊維)まで含まれていることから、やはり効率的に吸収させることを考えると「バイパスメイトL」が最も効率的に採取することができるのです。

(3)現場での繁殖和牛への給与試験結果

さて、実際に給与試験した結果ですが、平均分娩間隔が360日(平成16年度結果)vs 342.9日(平成17年度結果)となりその差18日程度の短縮となりました(図3)

 

 

(4)バイパスメイトLの給与効果の試算

 

この18日間はわずかばかりではないかという御意見もあるかもしれません。しかし、仮に100頭飼養規模とした場合の年間子牛出荷頭数は

 

年間分娩頭数

無給与区  100頭×365/360回 =101.3 頭

給与区   100頭×365/360回 =106.7 頭

 

年間収入(50万円/頭として算定)

無給与区 101.3×50万円=5,056万円

給与区  106.7×50万円=5,335万円

 

年間の収入差額        279万円

 

このバイパスメイトLに使用時の経費は

分娩前給与量  50g×30日間×100頭=150kg

分娩後給与量 100g×60日間×100頭=600kg

750kg × 400円/kg = 30万円

 

最終利益増額分  279万円-30万円=249万円

 

 

一般にお題目のように良く言われることですが、分娩間隔の短縮が及ぼす影響は年間分娩頭数の増加以外にそれら飼養する牛が1頭あたりに必要とする施設費用、人件費等を削減することができます。

お問い合せは 油化産業株式会社 アグロメディック営業部 03-5793-1454 まで