会長挨拶

 

ご挨拶(祝 第38回とちぎの和牛を考える会開催)

 

第38回とちぎの和牛を考える会開催についてお慶び申し上げます。

また日頃とちぎの和牛を考える会の活動にご理解とご協力をいただいている関係者の皆様、またご支援いただいている関係機関並びに関連企業の方々に感謝申し上げます。

今、和牛を取り巻く環境は、大きな転換点を迎えています。

一つは国内の市場環境の変化です。人口減少と高齢化が進む中で、牛肉の消費量は頭打ちとなり、若い世代の“牛離れ”も少しずつ進んでいます。加えて、健康志向や価格への敏感さも増しており、和牛が「高級品」としてだけでなく、「普段使い」の選択肢となるには、私たちの工夫が問われています。

 

一方で、海外市場の期待は非常に大きいものがあります。アジアを中心に、日本の和牛は“安全・高品質・美味しさ”という三拍子そろったブランドとして高く評価されています。ただし、オーストラリアやアメリカといった国々も「WAGYU」の名を使って市場を広げており、日本の和牛の“本物の価値”をどう発信していくかが、今後のカギを握ります。

 

そして、何より深刻なのが生産現場の課題です。高齢化、後継者不足、そして飼料価格の高騰。現場では「やりたくても、続けられない」という声が増えています。

しかし、ここにこそ、私たちの団結と挑戦の余地があります。ICTの導入やゲノム情報の活用など、新しい技術は確実に現場を支え始めています。これらを活用して、若い担い手が希望を持って参入できる環境を、一緒に作っていかなければなりません。

 

和牛は、日本が世界に誇る文化であり、産業です。

一頭一頭に手をかけ、心を込めて育てる私たちの仕事は、機械では代替できません。

そしてその価値は、これからの時代にこそ、必要とされると私は信じています。

 

変化の激しい時代だからこそ、仲間と知恵を出し合い、挑戦を続けましょう。

私たちの和牛には、未来を切り拓く力がある。そう信じて、共に歩んでまいりましょう。

 

私たち「とちぎの和牛を考える会」は、和牛の繁殖に携わる農家同士が、地域や経験をこえてつながるための場として生まれました。

 

繁殖の現場は、ときに孤独で、判断に迷うことも多い仕事です。種付けや育成、血統の選び方、子牛の体調管理……誰にも相談できずに抱え込んだ経験は、きっと皆さんにもあるのではないでしょうか。

 

そんなとき、気軽に話せる仲間がいるだけで、心が軽くなったり、新しい視点が得られたりします。

 

この会では、技術や知識を共有しながら、肩の力を抜いて語り合える関係を築いていきたいと思っています。目指すのは、「一人じゃない」と思える繁殖農家のネットワークです。

 

和牛づくりの喜びも苦労も、分かち合える仲間とともに、栃木の和牛をもっと良くしていきましょう。

 

最後になりましたが「第38回とちぎの和牛を考える会」が充実した内容で開催出来るよう皆で精一杯準備していく所存です。

近隣の畜産農家の方々あるいは他県の方々また関係者の方々お誘いの上、多数の参加をお待ち致しております。

第38回とちぎの和牛を考える会成功を祈願して挨拶にさせていただきます。
ありがとうございました。

 

 

令和7年9月

とちぎの和牛を考える会

会長 小池 知道